Problem Based Learning
実世界で直面する問題やシナリオの解決を通して、基礎と実世界とを繋ぐ知識の習得、問題解決に関する能力や態度等を身につける学習のこと
解く手順が決まっておらず答えが一つではない問題をはらむ状況の中で、学習者がその問題に何らかの利害関係者の役割を担う当事者の立場に立ち、協調しながら探究し解決に取り組む学びである。PBLは、カリキュラム編成と指導法が補い合って、活発な認知活動をもたらすようデザインされた学びのモデル カナダ・マクマスター大学の医学教育から発展
実際の医療業務との関連性を実感させるためのプログラムとして考案
この定義は、アメリカの教育研究団体ASCDが出版しているPBL実践研究の書籍(2011)、デンマーク・オルボー大学のAalborg PBL Modelに関する論文集(2007~)、R.K.Sawyer編の学習科学の理論的知見(2006)を基にしていますが、これまでの私の実践経験と、視察した国々の、理論的基礎をPBLにおく様々な教育実践(過去のものから進化形まで)から得た実感をまとめたものです。 日本で目にする一般的なPBLの定義とは少し異なる印象を受けるかもしれません。日本のPBLは「問題解決」に注力するあまり、学習者一人ひとりの学びというPBLの最も需要な教育学的側面を無自覚に 弱くしてしまい、ガラパゴス化の一歩手前にあるのではないかと思うようになってきました。
PBLは様々に訳されていますが、私は、「Problem」を「現実問題」と訳すのがしっくりきます。
現実の問題をカリキュラムや学びの中心に据えることが、多くのPBL的学習効果を生み出す最も重要なポイントだということが、これまでの経験から明らかになってきたからです。
“他者に与えられた問題”に 、“ 決められた手順” に沿って“外側” から取り組む学習は、アメリカなどでは「Problem Centered Learning」や、「Problem Solved Learning」、または「Case Method 」としてPBLとは区別されています。学生の立場、教員の役割、認知やメタ認知のあり方、問題の特性、情報の扱い方などが、それぞれに異なります。
これらは、同じ教育理論から発生していることもあり混同されることが多いのですが、明確に区別して導入することが、より教育効果を高めるといわれ、私のこれまでの実践からも明らかとなっています。